[結論]勤続年数によっても異なりますし、退職金の金額によっても変わります。
退職金で徴収される税収方法は、普通の年収にかかる所得税(累進課税)と同じではありません。
退職金から引かれる税金の金額
『退職金から引かれる税金の金額(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額)=所得税(基準所得税額)+ 基準所得税額×2.1%』になります。
こんな計算式を出されても、
「???…もういいよ…面倒だし…」
となると思いますが、もう少し丁寧に解りやすく、最終的にいくらの税金を納めることになるのか?をこれから説明しますのでお付き合いください。
FIRE(切り崩し型)を実施する時には貯蓄額がキモになりますので、退職金がいくら手元に残るかをキッチリと完璧に把握しましょう。
退職所得控除額とは?
退職所得控除額の計算式が下記の表です。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数ー20年) |
注2:上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円になります。
注3:障害者となったことに直接基因して退職した場合は、上記により計算した金額に、100万円を加算した金額が退職所得控除額です。(国税庁HPから引用)
上記の表で確認すると、転職をしている会社員は勤続年数が少なくなるので控除額が小さくなるのがよく分かると思います。
解りやすくする為に、私の控除額を実例に出します。
現在31年間も会社員をしていますが、10年間は別の会社に居たので現在の会社の勤続年数は「31年ー10年」になり、「21年間」で計算しなければなりません。(転職組は悲しくなります…)
式に当てはめますと、転職組の私の退職所得控除額は800万円+70万円×1年=870万円になります。
これが最初から同じ会社で働いていてFIRE退職する人(生え抜き組)は800万円+70万円×11年=1570万円が退職所得控除額になります。
課税退職所得金額とは?
それでは例を挙げて説明します。
FIREをする事が決まり、その時の私の退職金が「通常の退職金2,000万円+早期退職の割増退職金3,500万円=5,500万円」だとします。
途中入社の私を(転職組)「課税退職所得金額」=「退職金総額ー退所所得控除額」×0.5の式に当てはめると、(5,500万円ー870万円)×0.5=2,315万円(課税退職所得金額)になります。
最初から同じ会社に勤務し(生え抜き組)、勤続年数が31年の人を同じ式に当てはめると(5,500万円ー1,570万円)×0.5=1,965万円(課税退職所得金額)になります。
基準所得税額とは?
基準所得税額は、上記で計算した「課税退職所得金額」に対して、自分に該当する税率を掛けて控除額を引きます。下の表で確認してください。
リストラ等の「早期退職」では割増金などで退職金の金額も大きくなりますので、下記の表でしっかりと〔基準所得税額=A×B-C〕計算しましょう。
《令和2年》A 課税退職所得金額 | B 税率 | C 控除額 |
---|---|---|
① 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
② 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
③ 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
④ 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
⑤ 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
⑥ 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
⑦ 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
それでは、私のような「転職組の例」と、最初から勤続していた「生え抜きの会社員の例」を上の表の計算方式に当てはめてみます。
・転職組は、課税退職所得金額が2,315万円になりますので、⑥番の枠に入ります。
税率は40%・控除額は279.6万円ですので、646.4万円が基準所得税額になります。
・生え抜き組は、課税退職所得金額が1,965万円になりますので、⑥番の枠に入ります。
税率は40%・控除額は279.6万円ですので、506.4万円が基準所得税額になります。
退職金で最終的に徴収される金額(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額)
それでは退職金で最終的に徴収される金額を紹介します。
冒頭に紹介した通り、
所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額=所得税(基準所得税額)+ 基準所得税額×2.1%
が最終的に徴収される金額になります。
では、具体例での最終的に納税する金額を紹介します。
転職組の納税額:646.4万円+646.4万円×2.1%=659.9万円
生え抜き組の納税額:506.4万円+506.4万円×2.1%=517.0万円
となり、その差額は142万円にもなります。
上記の結果のように、勤続年数が長い人程「税金が少なくて得をする仕組み」になっています。今の時代にはマッチしないとは思いますが、コレが現状です。
退職金の税金の仕組みは理解できたでしょうか?
次回は、退職金は「企業年金を使うのが得か?」「一括で退職金を貰ってしまうのが得か?」を解説します。
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